ホテルを出発して、まずは地下鉄に乗り、体調の悪さに耐えながら、なんとかPort Maliot駅に到着。
しかし、駅を出たはいいものの、アメリカン・ホスピタル行きのバス停が見当たりません。
仕方がないので「助けてください~!!」みたいな視線を周囲に送っていると、大学生らしき若者が「どうした?大丈夫か?」みたいな感じで近寄ってきてくれました。
そこでたどたどしい英語でこう言いました。
Could you tell me the way to American Hospital?
まあ、普通に中学生の英語の教科書に出てきそうな文章です(笑)もちろん、Port Maliot駅からアメリカン・ホスピタルには徒歩で行ける距離ではないのは事前に分かっています。本来であれば、「アメリカン・ホスピタルへ行くバス停はどこにあるんですか?」とか聞けばベストなんでしょうけど、さっきのように聞けば、「いや、歩いてはいけないから、バスで行った方が・・・」みたいな話の展開になるものです。
で、実際にそうでした(笑)
このフランス人の若者は、親切にアメリカン・ホスピタル行きのバス停まで連れて行ってくれました。
そして、フランス語がわからない私のために、バスに乗る際に運転手に「この人をアメリカン・ホスピタルまで行くから」と告げてくれたのです(何となく予想(笑))。そして、「終点がアメリカン・ホスピタルだから、そのまま乗っていけばいいよ」といってくれました。
約10分後、アメリカン・ホスピタルに到着。いや~、リヨン駅から約40分近くの時間でしたが、3~4時間ほど移動した錯覚に陥りました。それほどまでに、この時の私の体調は最悪だったのです。
中に入ろうとすると、入口に守衛らしき人が立っていました。そして、「何の用だ?」と聞くので、「いや、具合が悪くて、この病院に日本人の医師がいると聞いて来たんですけど・・・」と言うと衝撃の回答が!!
守衛:日本人の医師はいない。いるのは、英語を話せる医師とフランス語を話せる医師だけだ。
あの保険屋に騙された!!と思いましたが、まあ、よく考えれば今日は日曜日。日本人のお医者さんだって休診日ですよね、普通。
ということで、選択の余地なく、英語を話す医師の診察を受けることになりました。
その医師は非常にきれいでわかりやすい英語を話す方で、昨夜からの私の体調の変化について、事細かに聞いてきました。
- 昨夜の何時にパリについたのか?
- 昨夜はどんな食事をとったのか?
- 今朝のお通じはどうだったか?
- 今までに大きな手術の経験があるか?
- 特定の薬に関するアレルギーはあるか?
- 昨夜と比べて、現在の体調はどうか?
などなど・・・
そして、最後におなかを触診。この時、「あ~、胃腸が正常に動いていないね」と言われ、結局、注射と薬を処方されることになりました。
注射といえば、エイズなどの感染症が心配なんですが・・・と言うと、「注射は目の前でパックを破って安全であることを証明してあげるから大丈夫だよ」と安心させてくれました。
そして、帰りがけ・・・思わぬことに気が付きました。
流暢な英語で外国人とコミュニケーションを取っている自分に!!!
今まで、英語を話しているという意識が全くありませんでした。いや、体調が悪すぎて、そんなこと意識する余裕などなかったのです。人間、極限状態に追い詰められると、自分も気づかない能力を発揮するといわれますが、私にとって、この時の経験がまさにそうだったのかもしれません。
もちろん、この能力開花は、中学~高校と英語を勉強してきた蓄積があってのものだと思います。何もせずに、いきなり英語が話せるようになったというわけではありません。
ただ、この時の旅行が、今までの努力を開花させる大きなきっかけとなったことは間違いありません。
ですので、確かにちょっと散々な目になったように思いますが、今、思い返してみると、貴重な経験をさせてもらったなと思います。
リヨン駅のエスプレッソコーヒーに感謝です(笑)